農業の需要と供給 2
税金と統制は、食糧、財政のいずれの面でもシンプロットの軍部への貢献を妨げる結果になります。
たしかに官僚との臨機応変の折衝によって大企業はこの税法の抜道を見つけて資本の捻出を行ないました。
しかしまったく新しい産業を興そうという努力から、シンプロットは毎月のように新規の事業に手を出していました。
ジャガイモの栽培、肥料の製造、あるいは木箱の製造について官僚にゆっくり説明する時間もなく、またそれは彼の気性にも合わなかったのです。
古今を問わず税によって財産も失いかねない危機に直面した人びとの例にもれず、法律と利潤のいずれを選択すべきかに迷い、補給局長にも攻めたてられ、結局、シンプロットは弁護士と金融業者に助けを求めました。
このように戦時中ものにとりつかれたように働き、大方の国会議員より簡素に暮す一方で、J・R・シンプロットは不当利得者、脱税屋の悪評を蒙るようになっていました。
90パーセントの税金という隆路を打開するために、アイダホ最高の腕利き弁護士が入念に細工した、書類の上だけの企業複合体を作ったのです。
その会社は95の共同経営者と多くの信託人に分けられ、シンプロット、その家族、友人、取引銀行家、弁護士などさまざまな名義の所有になっていました。
これは無教育な商人で一介のジャガイモ農場主にすぎない彼の知識をはるかに超えることなので、シンプロットとしては不安でした。
しかし弁護士たちは法律の許す範囲だからと請け合い、これによって財政的な隆路は打開されました。